
2015年の玉川の1番の話題の方と言えば、この方。白川密成さん。地元の人からは「密成さん」と呼ばれて親しまれている。四国八十八箇所霊場第57番札所「栄福寺」住職。38歳の今年、著書『ボクは坊さん。』が映画化され全国公開。その作品には地元今治市玉川町の風景あり、約450名もの地元エキストラの協力あり、まさに今治市玉川町の映画でもあったといえよう。メディアをはじめ全国各地での講演活動など、師走の分刻みのスケジュールの中、白川ご住職には、お時間をとっていただき栄福寺を訪ねた。


はい。小学校の時の文集が残っているのですが、「本を書いて、お坊さんになって・・・」と書いていて今読むと自分でも驚きます。当時は深く考えてはいませんでしたが、なんとなく、お坊さんというのは、人が生きて死ぬ、このとても大きな哲学的なことに役割として関われるなぁ、しかも生活の中で実践的に、と思いました。お坊さんって、世の中の役割のひとつとして成立しているのがいいなと思っていたんです。

「言葉によって、言葉を超えたい」と伝えました。急に聞かれたので、逆に正直な言葉が出たと思います。言葉には言葉が必然として持つ限界がある。しかしそこを凌駕するような迫力を持った、しかもポップで可愛い本を作りたい。今から考えると、この微妙な線を理解できるのが、まさに三島邦弘という出版人だと思います。僕は本を作ったことはないけれど、作るのならそういう本を作りたいという思いがありました。
う~ん、それは本当に難しい質問だけど(笑)、河合隼雄さんの『こころの処方箋』でしょうか。河合さんは臨床心理家で、なかなか答えがでないとことについて、答えはないんだと丁寧に書かれている。地方とかコミュニティとか大事だということについても、昔がよかったといっても、そっくりそのまま昔には帰れない。昔の状態をそのまま呼び戻すのではなくて、昔のいいところと、今の葛藤を混じり合わせて、今の時代の形を作り出すしかない。そのあたりを丁寧に書いているから好きですし、今はそういうことを表現している人が少ないのではないでしょうか?比べることはもちろん、僭越すぎてできないですが、少なくても自分自身、これから「書く」機会を与えられるとしたら、そういった「葛藤」を込みで書きたいですし、それはそのまま仕事や生き方にも繋がってくるという話なんだとも思います。
ここは、僕が住職になって栄福寺をやっていくときに、先にお話ししたように全部はがらりと変えないけど、今までとは違うことも取り入れながら、心地よく新しいモノを作っていくというのを表現したいということで、ここを建てたいと思ったのがあり、周りの人に「どんな新しいことが始まるんだろう?」とワクワクしてほしかった。それが建物だと表現しやすいかなと思った。今までは、地元愛媛の物づくりに関わる人たちが集まって「デザイン会議」をしたり、京都大学の先生たちによる文化人類学研究発表を開催し僕も発表したりしました。ここでやりたいことはいくつかあるけれど、中でも絵本の読み聞かせをしたり、地域の人たちとつながりを生む場所にもしたいですね。そしてとても大きな要素として、地震等で伽藍が倒れてしまった時に、この場所が本堂、庫裏などすべてを兼ねた場所になることを想定し、非常に強固にそして何代かにわたって使えるように作ってあります。

聞き手:NPO法人玉川サイコー 森 智子・阿部友子
カメラマン:第一印刷株式会社 磯野洋介